【家業ラボ】「日本の未来は中小企業にある!いま、中小企業・家業が面白い理由とは?」でお話をさせて頂きました。

2021/8/12
https://kagyoinnovationlabo.com/2980/
中小企業庁は「中小企業・小規模事業者の存在意義や魅力等に関する正しい理解を広く醸成する機会を国民運動として提供していく」ことを目的に、2019年に中小企業基本法の公布・施行日である7月20日を「中小企業の日」と制定しました。「家業イノベーション・ラボ」では、この「中小企業の日」に相応しく家業後継者(アトツギ)を応援する3団体の代表を招き、この激動の時代に中小企業・家業だからこそ成せる可能性について熱いトークが繰り広げられました。
家業後継者を取り巻く多様なニーズに応える4団体
今回、登壇していただくパネリストは、次世代の経営者および家業後継者を支援する4団体の代表4名です。

1人目は、「野心系アトツギが日本経済に地殻変動を起こすエコシステムを実現する」をビジョンに掲げる一般社団法人ベンチャー型事業承継の代表理事・山野千枝さん。同団体は1日でも早く新規事業に着手してほしいと、入会時の年齢を34歳未満と定め、同族経営の承継予定者の新規事業創出に特化した体験シェア型のコミュニティを運営しています。

2人目の一般社団法人跡取り娘共育協会の代表理事・内山統子さんは、「女性後継者の経営、メンタル面での支援を行いながら、コミュニティ化することで、女性後継者の成長に寄与すること」を目的に活動しています。女性後継者たちの悩みを解決し、彼女たちが自信を持っていきいきと事業に取り組めるように、さまざまな学びの場、交流の場を設けています。

3人目は、「家業を持つ全ての人が、継ぐ・継がないの二択ではない、自分らしい家業との関わり方ができる世界を作る」をミッションに掲げる「家業エイド」を代表して、エヌエヌ生命保険株式会社Sparklabの稲木元昭さんです。同団体では、家業を持つ仲間とのつながりを促し、互いに助け合いながら次の一歩を踏み出すためのコミュニティを運営しています。

そして、最後は「家業イノベーション・ラボ」の共催団体であるNPO法人農家のこせがれネットワークの代表理事であり、株式会社みやじ豚の代表取締役社長の宮治勇輔さんです。宮治さんはパネリスト兼ファシリテーターとして、同じくファシリテーターを務める株式会社THINK AND DIALOGUEの代表・富岡洋平さんと息の合ったかけあいを展開しました。 実は、富岡さんご自身は家業を「継ぐ」ではなく、「起業」を選択した後継者の1人です。現在はさまざまな企業のエグゼクティブコーチとして、組織変革の支援やリーダーの育成などの業務を担っています。富岡さんはスタートアップやベンチャーの難しさはもちろん、事業承継に立ちはだかる課題や家業後継者の心の葛藤なども理解しており、今回のクロストークでは4名のパネリストたちとともに、中小企業・家業の魅力、家業後継者(アトツギ)たちの可能性について語っていきました。

今必要なのは、家業を持つ若者たちが気軽にチャレンジできる環境
そして、今回は経済産業省中小企業庁金融課の海老原史明さんをゲストにお招きし、現在、国が行っている事業承継時やその後の経営者支援のための政策についてお話をお聞きしました。事業承継による経営者の若返りは、売上高の増加や新たな事業展開の可能性があるそうで、だからこそ国が事業承継に寄せる期待は大きいと海老原さんは話します。

続いて行われたのは、「家業イノベーション・ラボ」の宮治さんと「ベンチャー型事業承継」の山野さんによるクロストークです。限られた時間にも関わらず、トークは潜在的な承継予定者の発掘の仕方など多岐に渡り、かなり濃い内容に。その中で印象的だったのは、『イノベーション』という言葉がビックワードになりすぎていると懸念を示したことでした。イノベーションとは、ゼロから立ち上げることではなく、もともとある家業の見方を少し変える、もしくはアプローチを少し変えることから生まれることもあり、それを地道に続けていくことが大事なのだと2人は話しました。

次は「跡取り娘共育協会」の内山さんと「家業エイド」の稲木さんによるクロストークが行われました。この2つの団体は、前の「家業イノベーション・ラボ」や「ベンチャー型事業承継」と比べると、継ぐ・継がないに関わらず家業を持つメンバーが集まる「家業エイド」と、一方は女性の家業後継者に特化しているという点で対照的な存在です。クロストークでは、内山さんが女性の家業後継者を取り巻く環境とその問題点を話し、稲木さんは仮に「継がない」と選択しても家業から得られるものは大きいと話しました。

そして、最後は海老原さんを交えて4名のパネリストたちが、家業後継者を取り巻く今の課題を具体的に掘り下げていきました。その中で、山野さんは「家業の資源を使って新しいビジネスを考えている若者たちに、国としてもっと積極的なサポートをしてほしい」と訴えました。

現在、国はスタートアップや創業支援、中小企業支援はもちろんのこと、事業承継にまつわる支援も行っています。その中には既存事業以外に新規事業を展開する際に利用できる「事業再構築補助金」や、事業承継後の経営革新のために利用できる「事業承継補助金」、事業承継の一番の阻害要因である経営者保証を一定の条件の下で不要とする「事業承継特別保証制度」などもあります。

しかし、これらの一部は承継した者または承継予定者を条件としたものであり、「家業を継ぐ」と決めていない者は対象ではありません。山野さんは、若い人が覚悟を決めるのは時間がかかると話し、たとえば、大企業に勤めながらも副業として家業につながるビジネスを行う人がいれば、それを支援するなどもっと気軽にチャンレジできる機会を作ってほしいといいました。

若くして新たなビジネスに着手すると事業承継のタイミングも早まり、家業の発展に大きく貢献する可能性があります。また、そういった若い承継予定者たちの熱意や行動を広く世に知らしめていくことは、漠然と家業を捉えている承継可能性がある者たちの意識を目覚めさせ、行動を促すことにもなるでしょう。

パネリストたちの熱い思いを聞いた海老原さんは「対話の時間が足りない!」と話し、来年の「中小企業の日」を待たずして、次のアクションにつながる議論を重ねていきたいと語りました。

事業承継の近道は、同じ環境の仲間を見つけて知見を得ること
ここ10年ほどで事業承継を支援する団体は確実に増えています。今回の4団体も、家業後継者の立場や環境、課題に合わせた独自のコンセプトを掲げ、家業後継者(アトツギ)たちを支援しています。

今、1人で悶々と悩みを抱えている家業後継者、跡継ぎ候補者の方は、ご自身の状況、課題を鑑み、もっとも近しい団体の扉を開いてみてください。まずは行動です。私たち、4団体は皆さんとともに中小企業・家業に関わる皆さんを応援し続けます!
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